告知義務とは何か
保険は、加入する人の危険を見て引き受けるかどうか、いくら受け取るかを決める契約です。ところが健康状態や過去の治療歴は、加入者本人がいちばんよく知っています。そこで韓国の商法は、契約を結ぶときに契約者と被保険者が保険会社の尋ねる重要な事項を事実どおりに知らせるよう定めており、これを契約前の告知義務と呼びます。実際には申込書に添付された質問票に答える形で行われ、法は質問票に書かれた事項を重要な事項と推定します。つまり何を知らせるべきかの基準は、自分が重要だと思うことではなく質問票が尋ねていることです。この回答をもとに保険会社は加入を引き受けたり、特定の部位を保障から外したり、保険料を上乗せしたり、加入を断ったりします。そのため回答一つが契約全体の土台になります。契約者と被保険者が別の人なら、二人ともにかかる義務だという点も覚えておきましょう。
質問票は何を尋ねるか
質問票の項目は商品ごとに異なりますが、おおむね似た枠組みに沿っています。健康については、最近の一定期間に医師の診察・検査を受けて診断や治療、投薬を受けたか、追加検査(再検査)の所見を受けたか、入院や手術をしたか、特定の重い病気と診断されたことがあるかを、期間を分けて尋ねます。期間の基準は質問ごとに違うので、文を最後まで読む必要があります。健康以外にも、職業と仕事の内容、運転の有無と車種、危険な趣味、他の保険の加入状況を尋ねることが多いです。記憶があいまいなら、国民健康保険公団の診療履歴の照会や通っていた病院の記録で確かめてから答えるのが安全です。推測で答えると、後で記録と食い違うことがあります。特に同じ病気で何年も薬をもらっている場合は、最初に診断された時期と最近の処方の時期をどちらも確かめておくと答えやすくなります。高血圧や糖尿病のように継続して管理する病気は、尋ねる項目が別にあることが多いです。
- 最近の一定期間の診察・検査・治療・投薬の有無
- 追加検査(再検査)の所見を受けたか
- 一定期間内の入院・手術の有無
- 特定の重い病気の診断歴
- 職業・運転・危険な趣味など生活上の危険
違反するとどうなるか
商法は、故意または重大な過失で重要な事項を知らせなかったり事実と違って知らせたりした場合、保険会社が契約を解除できるとしています。解除されると原則としてその事故の保険金も支払われず、契約者はその時点の解約返戻金程度を受け取ることになります。ただし解除できる期間には制限があります。保険会社が違反の事実を知った日から1か月、契約を結んだ日から3年が過ぎると、この理由では解除できません。また、知らせなかった事実が実際に起きた事故と関係がないことが証明されれば、その事故の保険金は支払われなければなりません。たとえば胃の治療歴を書き漏らしたが交通事故でけがをした場合のように関係がなければ、保険金自体は出ることがありますが、契約は解除されることがあります。逆に保険会社が解除権を行使しないまま期間が過ぎれば、契約はそのまま維持されます。違反が軽い過失にとどまる場合も解除の理由にならないことがあり、故意や重大な過失があったかどうかが争いの中心になりがちです。
- 故意・重大な過失があるときに解除の対象
- 保険会社が知った日から1か月以内に限り解除できる
- 契約日から3年が過ぎるとこの理由では解除できない
- 知らせなかった事実と事故が無関係ならその保険金は支払われる
解除できない場合もある
告知義務違反があっても保険会社が契約を解除できない場合が、法と標準約款に定められています。保険会社が契約当時すでにその事実を知っていたか、重大な過失で知らなかった場合は解除できません。標準約款には、保障が始まった日から保険金の支払い事由がないまま一定期間が過ぎた場合(病気の保障はおおむね2年、健康診断を受けた契約は1年)にも解除できないとする条項があります。また募集人などが事実どおりに知らせる機会を与えなかったり、事実どおりに知らせるのを妨げたり、事実と違って知らせるよう勧めたりした場合も解除できません。ただし募集人の行為がなくても契約者が事実どおりに知らせなかったと認められれば例外になりうるので、約款の該当条項を直接確かめるのがよいでしょう。こうした例外を主張するには当時の状況を示す記録が必要なので、申込過程の資料を保管しておくと役に立ちます。
- 保険会社がすでに知っていたか重大な過失で知らなかったとき
- 保障開始後、支払い事由のないまま約款の定める期間が過ぎたとき
- 募集人が告知の機会を与えなかったり妨げたりしたとき
- 募集人が事実と違って知らせるよう勧めたとき
よくある誤解
告知義務でいちばん多い誤解は「募集人に話したから知らせたことになる」という考えです。募集人は一般に保険会社に代わって告知を受ける権限がないため、口頭で伝えただけで質問票に「いいえ」と記入していれば、保険会社に知らせたとは認められないことがあります。必ず質問票や申込書に直接書く必要があります。また「ちょっとした風邪まで全部書かなければならない」と負担に感じる人もいますが、質問票が尋ねる期間と範囲に当てはまるものだけ答えれば足ります。「健康診断は治療ではないから関係ない」という考えも危険です。健診で再検査や追加検査の所見を受けたなら、それを尋ねる項目があることがあります。「3年たてば必ず安全」というのも、詐欺に当たる場合はそのまま通用しません。結局、基準はいつも質問票の文そのもので、誰かの言葉や推測ではありません。
- 募集人に口頭で伝えた — 質問票に直接書く必要がある
- すべての受診を書く — 質問票が尋ねる範囲だけ
- 健診は関係ない — 再検査の所見を尋ねる項目がある
- 3年たてば終わり — 詐欺なら扱いが違う
契約後に知らせる義務もある
告知義務は契約を結ぶときの話で、契約を結んだ後にも知らせなければならないことが別にあります。商法は保険期間中に事故発生の危険が著しく高まった事実を知ったときは遅滞なく保険会社に知らせるよう定めており、約款ではこれを契約後の通知義務として具体化しています。代表的なのは職業や職務が変わる場合です。事務職から現場の作業職に移ったり、通勤用ではなく仕事で二輪車を継続して運転するようになったりと、危険の等級が変わる変化が当てはまります。これを知らせると保険料が上がったり下がったりすることがあり、知らせないまま事故が起きると保険金が危険の差の分だけ減ることがあります。一方、加入後に新しくかかった病気は契約前の告知義務の対象ではないので、そのために別途知らせる必要はありません。引っ越しや車両の変更など、商品によって知らせるべき事項が別に定められている場合もあるので、約款の該当条項を一度読んでおきましょう。
質問票に答えるときの点検順序
質問票は数分で済ませてしまいがちですが、後に保険金をめぐる争いの出発点になる書類です。次の順番で答えると書き漏らしを減らせます。電子申込なら、画面を進める前に各項目の期間の基準をもう一度確かめましょう。対面の申込でも、募集人に代わりにチェックさせず本人が直接読んで記入するのが原則です。回答を終えたら申込書の写しや画面の記録を受け取って保管しておくと、後で何をどう答えたかを確かめる根拠になります。家族を被保険者とする契約なら、その家族の受診歴も本人に直接確かめる必要があります。わからない項目があれば、推測で「いいえ」を選ぶより、保険会社に項目の意味を問い合わせてから答える方がよいでしょう。あいまいなら事実を書いておき、判断を保険会社に任せるのが後の争いを減らす方法です。
- 診療履歴の照会などで最近の記録を先に確認
- 項目ごとに尋ねる期間と範囲を最後まで読む
- 当てはまれば病名・時期・治療内容を具体的に書く
- 募集人に任せず自分で記入する
- 申込書・質問票の写しを保管
よくある状況① 加入後に書き漏らした履歴に気づいた
加入してから、以前の治療歴を質問票に書いていなかったことに気づく場合があります。そのときは事故が起きる前にできるだけ早く保険会社にその事実を知らせ、追加の告知をするのがよいでしょう。保険会社は知らされた内容をもとに、契約をそのまま維持したり、該当部位を保障から外したり、保険料を調整したり、契約を解除したりといった判断をします。不利な結果になるかもしれないという心配からそのままにしておくと、後でその履歴に関係する事故が起きたとき保険金をめぐる争いになる可能性が高まります。知らせた時期と方法、保険会社の回答は記録に残しておきましょう。連絡は電話だけでなく、記録が残る書面やアプリでの問い合わせをあわせて使う方が安全です。申込を撤回できる期間内なら、撤回してから事実どおりに申し込み直す方法も検討できます。撤回の期間は保険証券を受け取った日を基準に決まっています。
よくある状況② 病歴があって加入が難しい
治療歴があるからといって、保険加入がいつも不可能なわけではありません。保険会社は事実どおりに知らされた内容を見て、さまざまな方法で契約を引き受けることがあります。問題になった部位や病気を一定期間または全期間保障から外す不担保の条件、保険料を上乗せする割増の条件などが代表的です。質問項目を減らした代わりに保険料が相対的に高い簡易審査型(持病のある人向け)の商品もあります。こうした商品でも尋ねられる項目には同じく事実どおりに答える必要があり、通常の審査で加入できる人がわざわざ簡易審査型を選ぶと、同じ保障に高い保険料を払うことになりかねません。通常の審査を先に受け、結果に応じて次の選択肢を見る順番が合理的です。断られても、他の会社や他の商品では結果が違うことがあります。不担保の条件は該当部位以外の保障はそのまま維持されるという点で、加入がまったくできないよりよい選択になりえます。
限界と注意
この記事は韓国の保険における契約前の告知義務の一般的な原理を説明したもので、個別の事案に対する法律上の助言ではありません。解除できる期間と例外は法と標準約款に基づく一般論で、実際の判断は約款の文言と具体的な事実関係によって変わります。質問票の項目と期間、審査基準も会社と商品、時期ごとに異なります。商品・約款・規定は会社と時期ごとに異なるので、契約前に約款と質問票、保険会社と金融監督院の公式案内を必ず確認してください。保険金の支払いをめぐって争いが生じたら金融監督院の紛争調停制度を利用でき、事案が複雑なら法律の専門家の助言を受けるのが安全です。この記事の期間の数字は法と標準約款に基づく一般的な基準です。わからない項目は署名の前に必ず尋ね、回答を受けた日付と担当者もあわせて書き留めておきましょう。
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